診療科・部門紹介
臨床検査科
概要
臨床検査とは、病気の診断や治療、検診に使われる検査の一つです。臨床検査技師という国家資格を持った専門職によって、検査が行われます。 また、臨床検査科は診断や治療、あるいは健康管理において大変重要な役割を担っていますが、診断の前面に出ることはあまりありません。患者さまの見えないところで、縁の下の力持ちとして医療を支えています。
検体検査
尿の成分を調べて、腎臓や肝臓の異常をチェックします。便の検査は、出血しているかどうかや、下痢や腹痛の原因は何か(細菌・ウイルスなど)をチェックします。
検査室に提出された尿は、まずUS-3500(栄研化学)で定性検査を行い、遠心分離後に顕微鏡で尿沈渣検査を行っています。
一般検査で行っている簡易迅速検査
- インフルエンザAB簡易法型別
- A群β溶血連鎖球菌迅速検査
- アデノウイルス迅速検査
- 尿中肺炎球菌迅速検査
- レジオネラ抗原迅速検査
- 尿中ヘリコバクターピロリ抗体迅速検査
- 尿中NMP22迅速検査
- O157抗原迅速検査
- ロタウイルス迅速検査(実施期間11月~12月)
- クロストリジウムディフィシル抗原毒素迅速検査
- ノロウイルス迅速検査
- マイコプラズマ抗原定性検査
血液中の有形成分(赤血球、白血球、血小板など)から異常をチェックします。
血液中に含まれる成分(糖質、蛋白質、脂質、酵素など)をチェックします。
細菌やウイルスに対する体の免疫機構をチェックします。採血した血液を遠心分離し得られた血漿、血清をAlinity i(アボットジャパン)で測定しています。
血液中の凝固因子が正常に働いているかをチェックします。
血液型を調べたり、安全に輸血を行えるよう交差適合試験を行います。
一般細菌
喀痰・尿・膿などを材料として、細菌感染症の原因となる菌が存在しているかを検査します。
抗酸菌
喀痰・胃液などを材料として、結核の原因となる菌が存在しているかを検査します。
手術中に患者さまから取り出した検体(病変の一部)を標本にして、顕微鏡で観察することで病気の進行程度(浸潤・転移の度合い)を診断します。 これを行うことで術中に、腫瘍が良性か悪性か、リンパ節に転移していないか、どこまで切除するか、などの評価を行います。
採血・採尿について
外来採血室では朝8時から看護師や臨床検査技師が採血を担当しています。
また、入院中の患者さまには、担当医から指示があった場合ベッドサイドにて朝食前に採血を行っています。
検査内容によっては前日夜よりお食事・飲み物の制限がある場合がありますので、職員にお問い合わせください。
外来採血の流れ
- 来院したら受付でご案内ファイルを受け取ります。採血、採尿がありましたら、採血・注射室に移動します。
- 採血・注射室前の受付機に診察券を通し、整理番号をとったら、診察券とファイルを窓口へ提出します。
- 採血管の準備が出来次第、番号にてお呼びします。
- 席についたら、採血者に整理券を渡し、名前をフルネームで伝えます。採血管に書いてある名前に間違いがないか確認します。(左上にカタカナで名前が書いてあります)
- 採血
※採血中、指先がしびれるような痛みや、ふらつき、気分が悪いなどの症状が出た場合は、すぐにスタッフにお申し出ください。
- 止血確認。出血が止まったことを確認したら、次の検査・診察に向かいます。
注意事項
以下の項目に当てはまる場合は、採血前にお申し出ください。
- アルコール綿による消毒でかぶれる
- 採血をして気分が悪くなったことがある
- 血液をサラサラにする薬(ワーファリンなど)を服用している
- 採血をしてはいけない部位がある(透析用シャントなど)
- 絆創膏でかぶれる
採血における合併症について
以下の項目に当てはまる場合は、採血前にお申し出ください。
- 血管迷走神経反射(VVR)
痛みや恐怖感、緊張などにより起こります。
- 末梢神経損傷
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血腫形成(皮下血腫)
- 抗凝固薬(ワーファリンなど)服用者は注意してください。
- 抜針後は揉まず、伸展位で圧迫してください。
- 静脈炎
採血に関するよくある質問
以下の項目に当てはまる場合は、採血前にお申し出ください。
- 尿の出始めは分泌物などが含まれることがあるため、容器に取らずに捨てて、中間の尿を採取してください。
- 女性の方で生理中の場合は正しい検査ができないため、診療科もしくは検査室にお知らせください。
- ビタミンCの服用は正しい検査ができなくなるため、ジュース類などは検査の前日および当日の服用は控え てください。
生理機能検査
脈の乱れ・胸の痛み・動悸・呼吸困難・失神などの症状の時や原因不明のショックなどを診断する為に行います。手術前に行うこともあります。
方法 | ベットに寝て、胸部6ヵ所+両手足4ヵ所に電極をつけ測定します。 |
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所要時間 | 5~10分 |
注意事項 | 足首に電極をつけますので、ストッキングやタイツ着用の際は脱いでいただきますので、着脱しやすい服装で来院してください。 |
狭心症の診断・治療効果の判定、不整脈の診断を行います。運動しながら心臓に負担をかけ、心電図と血圧を測定します。
方法 | 電動で動くベルトコンベアーの上で歩行~ジョギング程度の運動をし、その間に起こる心電図や血圧の変化を調べます。 |
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所要時間 | 30~45分 |
注意事項 |
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動悸の原因や失神・めまいの訴え、息切れ・胸痛・徐脈・治療効果の判定さらにペースメーカーの評価を行います。
方法 | 機器(シール電極・コード・携帯機器)をつけ約1日、日常生活の心電図を記録し解析します。 |
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所要時間 | 装着15分、測定1日 |
注意事項 |
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胸から足の血管の硬さと、狭窄(細くなっている部分)があるのかなど、動脈硬化を調べる検査です。
方法 | 靴下を脱ぎ、両手両足の血圧を同時に測定します。心電図と心音も記録します。 |
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所要時間 | 10~15分 |
注意事項 | 上腕・足首を出していただきますので薄着になれる服装で来院してください。 |
「歩くと足やお尻が痛くなり、しばらく休むと痛みが無くなる」間欠性跛行症状のある方に検査を行います。
方法 | 電動で動くベルトコンベアーの上で5分間の歩行をします。その前後にABIを測定し、数値の変化を比較します。 |
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所要時間 | 30~45分 |
注意事項 |
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皮膚部分に毛細血管があるか、傷を治せるような豊富な血流があるかを調べる検査です。
方法 | 測定したい部分に圧をかけ、圧をぬきながら毛細血管の血流を測定します。測定開始に声をかけ、5分間動かず安静の状態で測定します。体動により検査できない場合があります。 |
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所要時間 | 40~60分、1ヶ所約5分 |
注意事項 | 測定部位が足の場合は足先を出していただきますので、足先が出せる服装で来院してください。 |
肺の大きさや肺の動きを調べる検査です。
方法 | 口で息を吸ったり吐き出したりして検査します。最大の値を測定しますので何度か検査を繰り返し、一番良い結果を報告します。 |
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所要時間 | 40~60分、1ヶ所約5分 |
注意事項 | 検査は午前中に行いますので、検査当日の朝食はとらないでください。 (検査前日の夕食は21時までに済ませてください。) |
睡眠中の呼吸の状況を調べる検査です。
方法 | 睡眠の深さを調べるために脳波、目の動きセンサー・心電図を付けます。呼吸の状態を調べるために鼻と口に空気の流れを調べるセンサーをつけ、胸とお腹にベルトを巻きます。 |
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所要時間 | 装着60分、記録(21時~翌6時迄) |
注意事項 |
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脳の活動・機能状態を検査します。脳波に乱れがあるか分かります。
方法 | 頭皮にクリームを塗って電極を20個程つけ、目を閉じた状態で脳波を記録します。脳から出ている電気を拾い廉くするために皮膚を清拭します。 |
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所要時間 | 45~60分 |
注意事項 |
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手や足の神経の状態を検査します。しびれがある場合や力が入らない場合に検査します。
方法 | 皮膚の上から電気で神経を刺激し、その刺激が神経の中を伝わる速さを測定します。弱い電気で数回連続して刺激します。静電気がおきた時のようにピリッとします。 |
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所要時間 | 15分~60分(計測部位により所要時間変更) |
注意事項 | 検査時に検査部位(肘・膝)を出せる服装で来院してください。また検査部位によっては、指輪・時計をはずしていただくことがあります。事前にトイレを済ませておいてください。 |
ヘリコバクター・ピロリの感染診断ができます。胃潰瘍の原因となるピロリ菌がいるか分かります。ピロリ菌の除菌の前後に検査を行う場合があります。
方法 | お薬を飲んで20分安静にし、前後に息を採取して比較します。 |
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所要時間 | 30分 |
注意事項 | 吸気・呼気のタイミングは、掛け声に合わせて行ってください。 |
超音波検査
超音波検査は、探触子(プローブ)と検査部位の間にゲル状のゼリーを塗り、 探触子を押しあてたり、すべらせて検査を行います。ゼリーは検査終了後に拭き取ります。人体に影響があるものではありません。
所要時間 | 20分~60分(検査項目により所要時間変更) |
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注意事項 | 検査部位によっては、服を脱いでいただく場合がありますので着脱しやすい服装で来院してください。 |
予約上の 注意点 |
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予約センター | 045-402-7015(平日、土曜 8:30~17:30) |
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スタッフ紹介
- 日本臨床病理学会認定臨床検査医
- 日本臨床検査医学会臨床検査専門医
資格および認定資格取得者
2023年度4月現在
資格名 | 人数 |
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緊急臨床検査士 | 12名 |
二級臨床検査士 ・循環生理学(7名) ・免疫学(3名) ・呼吸生理学(1名) | 11名 |
血管診療技師(CVT) | 2名 |
超音波検査士 ・消化器(3名) ・体表臓器(4名) ・泌尿器(1名) ・循環器(7名) ・血管(3名) | 9名 |
消化器内視鏡技師 | 6名 |
神奈川糖尿病療養指導士 | 3名 |
感染制御スタッフ(ICS) | 2名 |
排尿機能検査士 | 3名 |
日付 | 学会名 | 演題目 | 発表者 |
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2019.03.09 | 日本医療マネジメント学会 第18回 神奈川支部学術集会 | 「血管迷走神経反射(VVR)発生時の対応 -当院における対策と今後の課題-」 | 青地 理紗子 |
2018.06.08-09 | 日本医療マネジメント学会学術総会 | 「フレックスタイム制導入の実績・効果」 | 三輪 友康 |
2018.06.08-09 | 日本医療マネジメント学会学術総会 | 「結核疑い時の検査体制構築に向けた取り組み」 | 小峯 祐美 |
2018.05.11-12 | 日本老年泌尿器科学会 | 「当院におけるエアチャージカテーテルT-DOCを使用した尿流動態検査」 | 長谷川 温子 |